【STRAY CATS】落ち込む時もあるさ。そんな時こそカッコつけたい
いきなりですが貴方はSTRAY CATSというロカビリーバンドをご存知か。
ブライアン・セッツァー(G・Vo)
リー・ロッカー(B)
スリム・ジム・ファントム(Dr)
この3人で構成されており、80年代に活躍している。
Stray Cats - Live At Montreux 1981
彼らはとにかくカッコいい。
いや、50年代にルーツのあるロカビリーを、ディスコミュージックやMTV全盛期の80年代に復興させ、以降のロカのテンプレを作り、今ではカッコいいギターで有名なグレッチ社を、当時は経営難で倒産していたのに、ブライアンが露出した事でV字回復でギターの名門となったとか、彼らの功績として語る事はいくつかある。
同じスリーピースバンドで、既に解散はしているが、BlankeyJetCityの浅井健一も、あのグレッチ6120を使っていなかったかもしれない。それどころかブランキーが産まれなかったと言っても過言ではない! 言い過ぎかしら(震え声)
とか、マジで色々あるんだけどさ。
もうね説明不要ってか、カッコいいだけでいいんじゃないかと思うの。
革ジャンやボーリングシャツにリーゼント。
ファッションもカッコいい。
ま、タトゥだらけで強面の彼らであるし、彼らのライブは当然その手の皆さまで溢れかえっているから、当然怖いとか思うでしょ。
でもまあ聞いてみて。まずは。とりあえず。
彼らの音楽はとにかくシンプル。
余計な物が一切ない。
それでもリフは秀逸だし、パフォーマンスも安定している。
頑張ってます感が一切無いんだよね。
特にブライアンはなんであんな難解なフレーズを延々と弾きながら唄えるのか、コレガワカラナイ……
歌詞もシンプルだし、とにかく彼らは必要な事は全て満たしているが、不純物が一切無いんだよね。
とにかく男が思うカッコいいが全部詰まっています。それがストレイキャッツ。
とは言え、今更感が無いとは言わない。
回顧厨が何をおっしゃるwwwwwとか思うでしょ。
個人的には古い音楽には今に無い良さがあるとは思う。
けど私はミーハーだからね。カッコよかったり面白ければ何でも聞く。
なので差別はしないよ。いい物はいい。
それがアニソンだって良ければ買うし、車でも聞く。
その上で言うんだけどさ。
中年になってくると気が滅入る事が多くなる。
ちょっとした事で落ち込んだり、仕事の忙しさを理由に、余暇に何もしなくなったり。
結局こういうのから鬱になったり、急激なオヤジ化が進むんだろうな。
そこでストレイキャッツがたまたま刺さったんだな。
ストレイキャッツ自体はリアルタイムで聞いていた世代ではある。
それに影響を受けて、普段着はアメカジやロカファッションが多いし、アメリカンバイク
にも乗っている。
けどやっぱ、仕事を持つようになったり結婚したりとかすると、どうしても情熱の注ぎ場所が家族へのウエイトが多くなり、逆にそれが尖った事をやらないエクスキューズになってしまっている。
何というか、老け込むにしても段階ってのは在ると思うんだ。
なら男も女もオヤジやオバハンでも精一杯お洒落とかするべきだしさ。
けど金はあっても気力が無いみたいなパターンの多い事。
で、ここ近年、私の身内の不幸が続いたりしてやたらと滅入った。
折り合いはつけてはいるけど、それまで好きだった読書や音楽鑑賞が出来なくなった。
2年前くらいから地上波のTVは完全に見ないしな。
要は集中力が続かない。
結果、私はとあるアニメの影響をモロに受け、ソロでキャンプをする様になった。
ド素人のクセにそろえたギアだけは高級品と言う有様。
で、山に行く訳だ。一人で。
焚火して、ぼーっと眺めながら飯を食う。
楽しいって感覚は無いね一切。
ただこれ、要は野外に引きこもってんだな。
誰も人が来ない山は閉鎖環境だしな。
けど誰もいないから落ち着くってだけで。
家にいれば嫁が買い物行こうとかなる訳でさ。休みでも。
だから外に自分の部屋を持ったみたいな感覚かね?
その嫁へのいい訳も楽だし。
────趣味のキャンプに行ってくるわ。
これ以上の説明はいらないもんね。
嫁は嫁固有の趣味があるから、そこにダメを出せる訳も無く。
いや悪意はないけどね。単純に人との距離が欲しいってだけ。
嗚呼、これ完全に病んでいる気がする。
そんな時にだ、ランタンの灯りでハンモックに揺られながら、iPadに入れてある曲をランダム再生していたら、ストレイキャッツの曲が連続でかかったのだ。
全然音楽にのめり込めず、すぐにスキップするのがデフォの私が、一緒に口ずさみながらいい気分になってたんだよね。
その後ランダム再生をやめ、彼らのアルバムでプレイリストを作ってループ再生にした。
これで私のスイッチがまた入った気がする。
翌週、嫁が買い物行こうと繁華街に行く事に。
私は久しぶりにリーゼントを作り、黒いジーンズにジョージコックスのラバーソウルを履いてみた。
トップスは真っ赤なボーリングシャツ。
嫁が「どうしたの!?」って驚いていた。
そして出かけるのもう少し待ってと言い、部屋に引っ込むと白いワンピースの上に黒いシングルのライダースを羽織ってきた。
ただの中年夫婦によるショッピングモールへの買い物が、デート感マシマシに変化。
それ以降、私達の間にある停滞感は消え、会話が増えた気がする。
結論を言えば、たまにカッコつけるってのは大事かもしれんって事を再確認したってオハナシ。
しかしこうやってダイレクトにアピールしても実際あまり他人には届かない。
そう考えると、有名ミュージシャンがカバーするとかファンを公言するのって素敵な事だよね。
例えば、
布袋寅泰がボウイの曲をカバー。
前述のブランキーの初期はモロにストレイキャツへのリスペクトの塊。
こう言うので彼らのファンは彼らのルーツを知って、その流れで世代も違う昔の素敵なバンドに巡り合う訳で。
とても素晴らしい事ですな。
ボウイ、つまりデビッドボウイは亡くなってしまった。
このニュースを聞いた時は呆然とした。
だってボウイは死なないでしょ。ジギースターダストやぞ。
ま、そんな訳はないのだけど。
でもなあ偉大過ぎて辛いよね。
私が中学校の頃、金曜日の午後の道徳の時間は、視聴覚室で映画を見るみたいなカリキュラムがあった。
その時にラビリンス~魔王の迷宮って映画を流しててさ。
皆がファンタジー感をストレートに喜んでいる中、私はこの魔王様、ボウイなんだぜ? クールだろ? なんてドヤ顔してた記憶がある。
ま、当時は日本の音楽シーンはバンドブームやらアイドルやらが全盛期。
洋楽聞くなんてマニアックなオタク扱いなので誰もピンと来てなかったけど(笑)。
ただ天国に、或いは星に帰ったボウイに言いたいのは、貴方の曲は今後も聞くし、子供にも聞かせますってこと。
ストレイキャッツを聞いて気持ちが上向いたけど、完全な物にしてくれたのは実は帰りの車でFMで流れたボウイのHEROESだったり。
たった一日だけでも私はヒーローになれるんやなって。
ま、そう言う事。