朧月夜のとりあえずヤってみよう

版権作品の二次創作がメイン。小説サイトに投稿するまでもない作品をチラ裏感覚で投稿します。

requiescat in pace ディエゴ・マラドーナ

マラドーナは私にとってアイドルでした。


そんな彼が先日、お亡くなりになられました。


心よりご冥福をお祈りいたします。


彼の死因が云々、周囲がざわついていますが、彼は亡くなったんだ。


その事実は変わらない以上、ファンとしては哀悼の意を掲げるのみ。



さて私にとってマラドーナはアイドルだと述べたが、彼に出会ったのは小学校高学年の頃。


年齢バレするので細かくは語りませんが(笑)


小3からサッカークラブに入っていた私は、欧州スタイルの戦術があまり好きじゃなかった。


と言っても当時はJリーグ創生前で、日本サッカーは糞みたいなもんだった。


代表レベルはまあ置いといて、高校サッカーを頂点としたティーンのレベルは恐ろしく低い


小学生では戦術と呼べる物はあまりなかったし、レフトウイングだった私に監督は、スペースに走れ! ボールに喰いつけ! みたいな指示ばかり。


もちろんうちのクラブがレベルが低いのもあるでしょうが、それでも全体的にレベルが低かったと思う。


だってJリーグが始動した年のプロチームの試合もさ、ぶっちゃけみんなでボールに向かって走るだけのクソみたいなサッカーしてたし、多分私の印象はそう間違いないと思う。


そんな矢先、重度のサッカーキチだった父親が、ソシオ会員にもなっている程の贔屓のチームであるカタルーニャのFCバルセロナに凄い選手が入ったぜ! と息巻いた。


うちはそれほど裕福じゃないので、サッカー系雑誌も買えなかったので、海外サッカーの情報はほとんど無かった。


それこそ父親経由で、彼の晩酌のついでに自慢げに語る海外サッカー事情を聞くのが一番の情報源だった。


そんな父親が、会社の同僚のコネで、まだ凄い高かったVHSのデッキを買って来たのだ。


半額? くらいで買えたと言うが、オカンに一切の相談も無く買った事で、我が家は数日間、凄まじい冷戦へと突入したが……。


今思えば父親も若かったのだ。エロビデオが見たかったのだろう。わかるわ。


そしてマラドーナのVHSを入手したのだ! 


何このちっさい頭モジャ男は!? と思った。


けどそうじゃなかった。


現代のサッカー少年が同じバルサのメッシ選手のプレーを初見した時の衝撃をイメージしてもらえれば、当時の私の感覚を理解できるかなと思う。


とにかくコマネズミの様に動き、輝くようなテクニック。


なんだけど、普段はウロウロ歩いているだけ。


けどチームが彼にボールを集め、彼が受け取ると、まるで花火の様に輝くのだ。


軽いボールタッチでさ。


ロナウジーニョみたいな派手なテクニックは見せないよ。


うん、彼から比べるとプレーは地味だ。


けどね、華はロナウジーニョより上だよ。


チームの王様とはマラドーナの事だ。


彼は凄まじいテクニシャンだけど、派手さはない。


その理由はたぶん、ゴールへの嗅覚と言えばいいのかな?


様はポジショニングが神なんだろうね。


ここでボールを貰うとこう動いてこうすればゴールになるだろう。


頭の中でイメージがあって、多分無意識にそれが出来る場所に彼はいる。


そしてボールを貰う。


イメージが出来ているからそこに向かって動くんだけど、既にDFの動きは見えていて、最小限の動きで華麗に躱し、ゴールネットを揺らす。


彼のドリブルの真骨頂は緩急なんだ。


ストップアンドゴーを適切に行う。


だから派手に見えないけど、これって要は相手DFと自分と言うマッチアップにおいて、完全に自分が支配しているってこと。


柔道なんかで重い相手を投げる時は、崩しと言って相手の重心をズラす事で投げる事が出来る。


サッカーもそう。


身体の重心が傾くと、容易に逆方向に戻せない。


マラドーナは相手の重心を完全に見抜いていて、相手がケア出来ない方向にチョンとボールを出す。
たったそれだけで彼は簡単に相手を置き去りにしてきた。


これは凄い衝撃だったなあ。


わたしたちはキャプテン翼をリアタイで見ていたけど、大空翼が現実にいるんだって驚いたね。


まあドライブシュートもオーバーヘッドもしないけど、それ以上に現実は凄い。


あのジネディーヌ・ジダンもキャプ翼好きらしいけどw


何といってもあの王様が一人いるだけで試合を支配できる、これは凄いよホント。


当然当時の世界サッカーも戦術は現代よりも稚拙だろうさ。


それを差し引いてもマラドーナは王様なのだ。


そしてVHSで彼に出会った後、私はクラブでシューズの結び方を変えた。


そう、いわゆるマラドーナ結びである。


シューズの紐を余らせ、それを足首の上で交差するように結ぶの。


まあこれはマラドーナの専売特許って訳でもなく、南米の選手には結構いたんだけどね。


父親の見せてくれたVHSにはスペインWCもあったから、余計にマラドーナのイメージが強いんだと思う。


それをクラブでやると、仲間の一人が”マラドーナだろ!?”と喰いつき、他の仲間が集まってきて、結局みんなでマラドーナ談義。


他の奴は知らないと勝手に思ってただけで、結構知ってたわ(笑)


んでみんなでマラドーナ結びをするんだけど、試合にそれで出ようとして監督にキレられたのはいい思い出。


その後は彼が引退するまでは彼が所属していたチームを追っかけ、彼の引退後はそれまでのサッカー遍歴の中で好きになったとあるチームのサポーターになりました。


チーム名はないしょ。イタリアの某チームとだけ。


そんな訳でマラドーナの思い出について語ってみました。

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