朧月夜のとりあえずヤってみよう

版権作品の二次創作がメイン。小説サイトに投稿するまでもない作品をチラ裏感覚で投稿します。

日本代表、ロシアWC出場を自力で決めた!に思う事。

 私は小学校から大学までサッカーをしていた事もあり、サッカーを観戦するのが大好きだ。
 まあ出身地がサッカー王国でも無いし、受験のために進学校を選んだ関係で、プレイヤーとしてのキャリアは語るレベルじゃないけれど。


 ただ父親が熱狂的なバルサファンで、小学校に入る前の私に向かっていかにソシオ会員である事が名誉なのかと晩酌をしながら聞かされた。
 当時はCS放送も無く、父がどこかでダビングしてきたVHSで、実際の試合時期とは随分と遅れて見ていた。


 そこで私はディエゴ・マラドーナを知った。
 彼もバルサの選手だったからね。
 勿論彼が所属していた時は、言う程活躍はしていないけれども。
 ただアルゼンチンの選手としては飛び切りだったからね。


 なので父の思惑だろうバルサファンにはならなかったが、サッカーには魅了された。
 小学校三年生ではじめて少年団に入り、体格も小さかったが気にせず頑なにCFを志望し、仲間としのぎを削った。
 もちろんシューズの紐はわざと長くし、足首で縛ると言うマラドーナ巻きをマネしながら。


 当時のサッカーは良く言えば南米スタイルで、悪く言えばボールが飛んでいく所にみんなが集まる様な稚拙な戦術だったな。
 私もサッカー選手になりたいってよりは、マラドーナになりたかったから、無理なドリブルで「おい〇〇ッ! ボール持ち過ぎだ!」なんて怒られてたし。
 ジャージをパンツに入れないで出すのも怒られたし。
 でも仕方ないよね、マラドーナが私のアイドルだったから。


 そんな私にとってサッカーは最早生活の一部になっている。
 贔屓のチームは無い。
 どんな試合でも見たいというミーハーなサッカーファンだ。
 ただ日本がワールドカップで良い所に行くのを願っているけれど。


 なので自力で出場を決めた今回はとても嬉しい!
 何というか日本代表の悪癖というか、先制しても結局は護り切れずに逆転されるパターンがお家芸になっている所がある。
 なので先制しても信用できないのだ。


 どこかで「どうせ追い付かれるさ……」なんて阪神ファンみたいな感覚がある。
 ごめんなさい阪神ファンの皆さま。悪意はないんです。33-4とか言わないので許して下さい!


 でも今回は違った。
 本田も香川もいないけれど、きっちり守ってきっちり勝ってくれた。
 何というか「勝つため」に死力を尽くした感じが凄い伝わった。
 
 私から見て日本代表の先述は中途半端だ。
 バルサの様なこまめなパス交換をする訳でも無い。
 アッズーリの様な徹底的な守備を敷く訳でも無い。
 何というか世界の強豪がやる戦術の良い所を少しずつ貰った様なイメージだ。


 なので本家と当たると途端に苦労する事になる。
 フィジカルも、テクニックも。


 ただ今回はかなり成長したとはっきり思えた。
 まず気温が涼しくなってきたのも関係あるとは思うが、スタミナ管理が抜群だった。
 明らかにガス欠を起こす選手がほとんどいなかったのだ。


 その割に、高いラインでのプレスを徹底し、一見攻め込まれている様で、決定機を作らせなかった。
 これがこの勝利の一番のポイントだったと思う。


 結局オーストラリアにはフィジカルじゃ絶対に勝てない。
 当りの強さや高さでは特に。
 けれど、日本はとにかくオーストラリアの起点を潰す事を徹底した。
 前線でのプレスに人数を割けば、必然的にディフェンスに負担が生じる。
 ここをカバーしたのは長谷部と長友だ。


 このバックアップを前提に、前線ではとにかくしつこいほどにボールを奪いにかかる。
 きちんと約束事が事前に設けられていたとは思うが、ゴールキーパーへのバックパスを誘発する事で攻撃の起点を全部潰したのだ。


 そうなるとオーストラリアの運動量も増える。
 イニシアチブを持っていたのは日本だから、後半になるとガクンと運動量が落ちた。
 これは前半の中盤に先取点を決めてからも浮足立つ事無く、徹底できた事が大きい。
 追加点を奪わなきゃ負ける! とか、そういうのが無いのだ。
 点が入っても関係なく、とにかくオーストラリアに攻撃をさせないんだ。
 それを続けた結果、試合終了のホイッスルが鳴った、それが昨日の試合だと思う。


 これは今後の日本代表のテンプレートになるんじゃないかな?
 このテンプレに選手をハメると言うか。
 泥臭いのだけど、この戦術は格上格下関係ないからね。
 リスクも当然ある。
 特に中盤の選手の運動量が飛躍的にあがるし。
 
 けれど方向性がしっかり決まっているからこそ、そこにハマる運動量の高い守備的な選手を探せばいいというのは楽だ。
 たしかに本田圭佑のキープ力も、香川真司の一瞬の閃きも魅力だ。
 けれど果たしてワールドカップにいるかといえばそうでも無いと私は思う。
 本田がシャビなら、香川がリオネルメッシなら話は違う。
 彼らは別次元で、チームの王様である実力があるのだから。


 けれどもそうじゃないなら、本田のキープ力は大迫でいい。
 決定的なパッサーも必要はなく、押し上げた時に長友が昨日見せた様なクロスをあげればいいのだし。
 右にもそのポテンシャルは在る訳で、ならば攻撃も大事だが、昨日の様な完封を目指した試合運びの方が安定するだろう。


 WC出場は確かに嬉しいけれど、それ以上に日本代表と言う枠の中でこれだ!という方向性を感じる試合内容だったことが私には嬉しかった。


 試合後のインタビューやセレモニーでキャプテンである長谷部は言っていた。
 嬉しいけれど、もう(ポジション争い)という戦いが始まっていると。
 長谷部も感じていたと思う。WC本選直前で昨日のパフォーマンスが出来ないなら自分は代表にはいないだろうと。


 いい試合をしたからこそ、今後はこのクオリティを求められる事を知っているのだ。
 海外では当たり前だしね。


 日本は無様に負けても頑張ったねなんて言う。
 これがイギリスならベッカムは帰国できずにアメリカに行ったりする。
 南米なら家族が拉致されたり殺害予告をされたりする。
 
 海外チーム所属の選手はそのシビアさを知っている。
 良いか悪いかじゃなくて、それが本来のサッカーの現場なんだよね。


 古い話だけれど、ポルトガルのルイスフィーゴはかつてバルセロナの選手だった。
 しかし第三のチームを経由せず、彼はあろうことか宿敵であるレアルマドリッドに移籍をしてしまう。


 そして移籍後のクラシコ(伝統の一戦、バルサVSマドリッドの事)で、彼がコーナーキックを蹴ろうとボールをセットした瞬間、コーナー傍のスタンドにいたバルサファンが中身の入った缶やボルトを彼に投げつけた。
 
 これがレジェンドだらけのクラシコでの現実だ。
 そしてこれがサッカーなんだよね。
 彼らが愛しているのはレジェンドな選手じゃなく、チームそのもの。
 だからレジェンドな選手だろうがチームを汚すやつは絶対に許さない。
 彼らからすればそれは、自宅に他人が土足で入り込み、クソをまき散らした様な物なのだ。
 そんな事をされて怒らないやつはいない。そう言う感覚。


 まあ日本のJリーグでも、特定のチームはまるで海外のサポーターみたいな所はあるけれどね(笑)
 怖いから言わないけれども。


 でも代表サポーターはまだまだシリアスが足りないと思う。
 無様な試合をしたならボロカスに責めてプレッシャーをかけないと。
 試合中も単調なチャントを繰り返していないで、相手チームが委縮するくらいの事をしないと。
 この辺が世界水準にならないと、本当の意味でWCで戦えるチームにはならないと思う。


 フェアプレイだのクリーンだのってのは、ジャージを引っ張りあっている現状建前でしかないからね。
 美徳もいいけれど、WCは優勝以外はゴミなんだよね。
 
 そんな日本を私的に象徴していたシーンとして思い出に残っているのは、中田英寿が引退を決めた2006年のドイツワールドカップ。
 大会自体は個人的にどのカードも面白く、決勝まで余すところなく楽しめたいい大会だったと思う。


 けれど日本の予選敗退が決まったあの試合。
 精も根も尽き果てた日本代表。
 その中で特に運動量も多かった中田英寿は、終了後呆然とした表情でセンターサークル辺りまで移動するとそこで仰向けに倒れた。


 なぜセンターサークルだったのだろう?
 多分彼の中では様々な想いが交錯した結果なんだろう。
 問題は色々あったにしても、あれだけ日本チームに貢献し、献身的な仕事をした選手に対して、誰も彼の傍に行かなかった事だ。


 その後も彼が抱擁を交わし、健闘を讃えあった相手は裏方スタッフが殆どだ。
 世代間の確執とか色々あるにしても、1つ正しい事は日本が弱かったって事だ。
 その中でも常に考え、どうすれば最善か、それを一番考えていたのはヒデだったと思う。


 当時、トップレベルのサッカーを一番その身で知っていたのはヒデだ。
 だからこそ他国の代表チームとの力量差は正確に分析できていただろう。
 そこでヒデが選んだ最善は、身体を張り相手に仕事をさせない事だった。
 
 とにかく走ってプレスを掛ける。
 けれど1人じゃ意味が無い。
 プレスを掛ける相手がパスを出す相手にも同時にプレスを掛けるから相手はじり貧になり、苦し紛れに後ろに戻すか、サイドラインに逃がすと言う選択肢しかなくなる。
 プレッシャーがあるから浮き球で縦パスを出しても、勢いが無ければDFが競ってボールを奪う事も出来る。


 要は昨日の試合で日本代表がやった事ををしたかったのだ。
 しかし実際は常にじり貧となる試合展開。
 試合中ヒデは何度もチームメンバーとコミュニケーションを試みていた。
 怒鳴るようなシーンもあるが、諭す様な言い方もしているのが見られた。
 
 チームのシステムもジーコが監督と言う事もあり、攻撃的なシフトを敷いていたからどうしようもないが、別にヒデを無意味に崇拝している訳じゃ無く、当時の日本には試合展開から臨機応変に状況を対応しようと言う意識が無かったと言う事が問題なのだ。


 それから何度かチームは世代交代を繰り返し、本田も香川も長谷部もポジションを約束されない立場に立たされている。
 その中で唯一重用されているのが長友佑都だ。
 何故か、彼は体格は小さいが、それを補って余りある運動量があるからだ。


 この決して落ちない運動量がどれだけ短期決戦に必要かというのは監督も知っている。
 それがチームの中ではアダルト組である彼が盤石な理由だ。
 
 さすがに1974年のオランダ代表は無理でも、日本は全員で守って攻める「和風トータルフットボール」を完成させてほしいと願わずにはいられない。
 昨日の試合にはその片鱗が見えたのではないか、そう思うからこそ尚更。


 ああ、来年が楽しみで仕方がない。
 そう思った私でした。
 今日は仕事が手につかなかった事を付け加えて締めとします。


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