朧月夜のとりあえずヤってみよう

版権作品の二次創作がメイン。小説サイトに投稿するまでもない作品をチラ裏感覚で投稿します。

日本代表、ロシアWC出場を自力で決めた!に思う事。

 私は小学校から大学までサッカーをしていた事もあり、サッカーを観戦するのが大好きだ。
 まあ出身地がサッカー王国でも無いし、受験のために進学校を選んだ関係で、プレイヤーとしてのキャリアは語るレベルじゃないけれど。


 ただ父親が熱狂的なバルサファンで、小学校に入る前の私に向かっていかにソシオ会員である事が名誉なのかと晩酌をしながら聞かされた。
 当時はCS放送も無く、父がどこかでダビングしてきたVHSで、実際の試合時期とは随分と遅れて見ていた。


 そこで私はディエゴ・マラドーナを知った。
 彼もバルサの選手だったからね。
 勿論彼が所属していた時は、言う程活躍はしていないけれども。
 ただアルゼンチンの選手としては飛び切りだったからね。


 なので父の思惑だろうバルサファンにはならなかったが、サッカーには魅了された。
 小学校三年生ではじめて少年団に入り、体格も小さかったが気にせず頑なにCFを志望し、仲間としのぎを削った。
 もちろんシューズの紐はわざと長くし、足首で縛ると言うマラドーナ巻きをマネしながら。


 当時のサッカーは良く言えば南米スタイルで、悪く言えばボールが飛んでいく所にみんなが集まる様な稚拙な戦術だったな。
 私もサッカー選手になりたいってよりは、マラドーナになりたかったから、無理なドリブルで「おい〇〇ッ! ボール持ち過ぎだ!」なんて怒られてたし。
 ジャージをパンツに入れないで出すのも怒られたし。
 でも仕方ないよね、マラドーナが私のアイドルだったから。


 そんな私にとってサッカーは最早生活の一部になっている。
 贔屓のチームは無い。
 どんな試合でも見たいというミーハーなサッカーファンだ。
 ただ日本がワールドカップで良い所に行くのを願っているけれど。


 なので自力で出場を決めた今回はとても嬉しい!
 何というか日本代表の悪癖というか、先制しても結局は護り切れずに逆転されるパターンがお家芸になっている所がある。
 なので先制しても信用できないのだ。


 どこかで「どうせ追い付かれるさ……」なんて阪神ファンみたいな感覚がある。
 ごめんなさい阪神ファンの皆さま。悪意はないんです。33-4とか言わないので許して下さい!


 でも今回は違った。
 本田も香川もいないけれど、きっちり守ってきっちり勝ってくれた。
 何というか「勝つため」に死力を尽くした感じが凄い伝わった。
 
 私から見て日本代表の先述は中途半端だ。
 バルサの様なこまめなパス交換をする訳でも無い。
 アッズーリの様な徹底的な守備を敷く訳でも無い。
 何というか世界の強豪がやる戦術の良い所を少しずつ貰った様なイメージだ。


 なので本家と当たると途端に苦労する事になる。
 フィジカルも、テクニックも。


 ただ今回はかなり成長したとはっきり思えた。
 まず気温が涼しくなってきたのも関係あるとは思うが、スタミナ管理が抜群だった。
 明らかにガス欠を起こす選手がほとんどいなかったのだ。


 その割に、高いラインでのプレスを徹底し、一見攻め込まれている様で、決定機を作らせなかった。
 これがこの勝利の一番のポイントだったと思う。


 結局オーストラリアにはフィジカルじゃ絶対に勝てない。
 当りの強さや高さでは特に。
 けれど、日本はとにかくオーストラリアの起点を潰す事を徹底した。
 前線でのプレスに人数を割けば、必然的にディフェンスに負担が生じる。
 ここをカバーしたのは長谷部と長友だ。


 このバックアップを前提に、前線ではとにかくしつこいほどにボールを奪いにかかる。
 きちんと約束事が事前に設けられていたとは思うが、ゴールキーパーへのバックパスを誘発する事で攻撃の起点を全部潰したのだ。


 そうなるとオーストラリアの運動量も増える。
 イニシアチブを持っていたのは日本だから、後半になるとガクンと運動量が落ちた。
 これは前半の中盤に先取点を決めてからも浮足立つ事無く、徹底できた事が大きい。
 追加点を奪わなきゃ負ける! とか、そういうのが無いのだ。
 点が入っても関係なく、とにかくオーストラリアに攻撃をさせないんだ。
 それを続けた結果、試合終了のホイッスルが鳴った、それが昨日の試合だと思う。


 これは今後の日本代表のテンプレートになるんじゃないかな?
 このテンプレに選手をハメると言うか。
 泥臭いのだけど、この戦術は格上格下関係ないからね。
 リスクも当然ある。
 特に中盤の選手の運動量が飛躍的にあがるし。
 
 けれど方向性がしっかり決まっているからこそ、そこにハマる運動量の高い守備的な選手を探せばいいというのは楽だ。
 たしかに本田圭佑のキープ力も、香川真司の一瞬の閃きも魅力だ。
 けれど果たしてワールドカップにいるかといえばそうでも無いと私は思う。
 本田がシャビなら、香川がリオネルメッシなら話は違う。
 彼らは別次元で、チームの王様である実力があるのだから。


 けれどもそうじゃないなら、本田のキープ力は大迫でいい。
 決定的なパッサーも必要はなく、押し上げた時に長友が昨日見せた様なクロスをあげればいいのだし。
 右にもそのポテンシャルは在る訳で、ならば攻撃も大事だが、昨日の様な完封を目指した試合運びの方が安定するだろう。


 WC出場は確かに嬉しいけれど、それ以上に日本代表と言う枠の中でこれだ!という方向性を感じる試合内容だったことが私には嬉しかった。


 試合後のインタビューやセレモニーでキャプテンである長谷部は言っていた。
 嬉しいけれど、もう(ポジション争い)という戦いが始まっていると。
 長谷部も感じていたと思う。WC本選直前で昨日のパフォーマンスが出来ないなら自分は代表にはいないだろうと。


 いい試合をしたからこそ、今後はこのクオリティを求められる事を知っているのだ。
 海外では当たり前だしね。


 日本は無様に負けても頑張ったねなんて言う。
 これがイギリスならベッカムは帰国できずにアメリカに行ったりする。
 南米なら家族が拉致されたり殺害予告をされたりする。
 
 海外チーム所属の選手はそのシビアさを知っている。
 良いか悪いかじゃなくて、それが本来のサッカーの現場なんだよね。


 古い話だけれど、ポルトガルのルイスフィーゴはかつてバルセロナの選手だった。
 しかし第三のチームを経由せず、彼はあろうことか宿敵であるレアルマドリッドに移籍をしてしまう。


 そして移籍後のクラシコ(伝統の一戦、バルサVSマドリッドの事)で、彼がコーナーキックを蹴ろうとボールをセットした瞬間、コーナー傍のスタンドにいたバルサファンが中身の入った缶やボルトを彼に投げつけた。
 
 これがレジェンドだらけのクラシコでの現実だ。
 そしてこれがサッカーなんだよね。
 彼らが愛しているのはレジェンドな選手じゃなく、チームそのもの。
 だからレジェンドな選手だろうがチームを汚すやつは絶対に許さない。
 彼らからすればそれは、自宅に他人が土足で入り込み、クソをまき散らした様な物なのだ。
 そんな事をされて怒らないやつはいない。そう言う感覚。


 まあ日本のJリーグでも、特定のチームはまるで海外のサポーターみたいな所はあるけれどね(笑)
 怖いから言わないけれども。


 でも代表サポーターはまだまだシリアスが足りないと思う。
 無様な試合をしたならボロカスに責めてプレッシャーをかけないと。
 試合中も単調なチャントを繰り返していないで、相手チームが委縮するくらいの事をしないと。
 この辺が世界水準にならないと、本当の意味でWCで戦えるチームにはならないと思う。


 フェアプレイだのクリーンだのってのは、ジャージを引っ張りあっている現状建前でしかないからね。
 美徳もいいけれど、WCは優勝以外はゴミなんだよね。
 
 そんな日本を私的に象徴していたシーンとして思い出に残っているのは、中田英寿が引退を決めた2006年のドイツワールドカップ。
 大会自体は個人的にどのカードも面白く、決勝まで余すところなく楽しめたいい大会だったと思う。


 けれど日本の予選敗退が決まったあの試合。
 精も根も尽き果てた日本代表。
 その中で特に運動量も多かった中田英寿は、終了後呆然とした表情でセンターサークル辺りまで移動するとそこで仰向けに倒れた。


 なぜセンターサークルだったのだろう?
 多分彼の中では様々な想いが交錯した結果なんだろう。
 問題は色々あったにしても、あれだけ日本チームに貢献し、献身的な仕事をした選手に対して、誰も彼の傍に行かなかった事だ。


 その後も彼が抱擁を交わし、健闘を讃えあった相手は裏方スタッフが殆どだ。
 世代間の確執とか色々あるにしても、1つ正しい事は日本が弱かったって事だ。
 その中でも常に考え、どうすれば最善か、それを一番考えていたのはヒデだったと思う。


 当時、トップレベルのサッカーを一番その身で知っていたのはヒデだ。
 だからこそ他国の代表チームとの力量差は正確に分析できていただろう。
 そこでヒデが選んだ最善は、身体を張り相手に仕事をさせない事だった。
 
 とにかく走ってプレスを掛ける。
 けれど1人じゃ意味が無い。
 プレスを掛ける相手がパスを出す相手にも同時にプレスを掛けるから相手はじり貧になり、苦し紛れに後ろに戻すか、サイドラインに逃がすと言う選択肢しかなくなる。
 プレッシャーがあるから浮き球で縦パスを出しても、勢いが無ければDFが競ってボールを奪う事も出来る。


 要は昨日の試合で日本代表がやった事ををしたかったのだ。
 しかし実際は常にじり貧となる試合展開。
 試合中ヒデは何度もチームメンバーとコミュニケーションを試みていた。
 怒鳴るようなシーンもあるが、諭す様な言い方もしているのが見られた。
 
 チームのシステムもジーコが監督と言う事もあり、攻撃的なシフトを敷いていたからどうしようもないが、別にヒデを無意味に崇拝している訳じゃ無く、当時の日本には試合展開から臨機応変に状況を対応しようと言う意識が無かったと言う事が問題なのだ。


 それから何度かチームは世代交代を繰り返し、本田も香川も長谷部もポジションを約束されない立場に立たされている。
 その中で唯一重用されているのが長友佑都だ。
 何故か、彼は体格は小さいが、それを補って余りある運動量があるからだ。


 この決して落ちない運動量がどれだけ短期決戦に必要かというのは監督も知っている。
 それがチームの中ではアダルト組である彼が盤石な理由だ。
 
 さすがに1974年のオランダ代表は無理でも、日本は全員で守って攻める「和風トータルフットボール」を完成させてほしいと願わずにはいられない。
 昨日の試合にはその片鱗が見えたのではないか、そう思うからこそ尚更。


 ああ、来年が楽しみで仕方がない。
 そう思った私でした。
 今日は仕事が手につかなかった事を付け加えて締めとします。


TSして藤丸立夏になった男だが、好き勝手にやってたら某ぐだ子みたいになってた件4

これともう1話で書き溜めは尽きる。
最後のやつに加筆すれば終章までは行けるとは思う。
その加筆をするかはまた別の話ですが。
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「ほらもっと腰を入れろ。それでは槍がお主を振り回している様に見えるぞ」
「は、はいっ……ううう……」
「ま、少し休め。お主には土台無理なのだ。マスターよ、何故そこまで自分を追いつめる? 人理修復に臨むとなれば、戦術的にもお主は最優先で生き残る事こそが肝要であろう?」


 カルデア内のトレーニングルーム。
 そこで私はスカサハさんと対峙し、彼女に作って貰った練習用の槍で組み手をしている。
 とは言え彼女が言う通り、槍を一閃するだけで身体がよろけてしまう。
 レイシフトでコフィンの中で眠ると言うのは身体によくなさそうだと思い、普段から基礎トレーニングは続けているがこのザマである。


 これは一体何キロあるのだろう?
 彼女がルーン魔術で何やらやると、どこからともなく出て来たのがこの無骨な象牙みたいな素材の槍だ。
 意匠もクソもない。ただ振るためだけの槍だと彼女がくれた。
 そして向かい合って好きに打ち込めと言われ、多分5回か6回ほど振っただろうか?


 やぁやぁと気合いの声をかけるも、あっちにふらりこっちにふらり。
 その挙句に尻から無様に倒れ込み、呼吸を整えるだけでも死にそうだ。
 スカサハさんやクーフーは軽々と赤い槍を振るが、あれは何とかと言う幻想種で作ったらしい。
 幻想種ってのは前にフランスで襲ってきたワイバーンや竜の類いがそうだ。
 つまり私にとってはファンタジー小説に出てくる空想の生き物だ。


 それが今や、なるほどこれが幻想種なんだって思える自分が狂っていると思う。
 私は何だかとても面倒臭くなり、仰向けに寝転んだ。
 スカサハさんがふっと微笑み、私の横にあぐらをかいて座った。


「マスター、あの小娘の事を気にしているのか? 己が連れまわしたからだと罪悪感を持ったか?」
「……どうなんだろう? わかんないけど、何だかイラつきが消えないんだ。けれど誰にそれをぶつけるべきか、それもわかんない」


 彼女の言う通り、私は気にしている。
 あの過酷すぎた特異点。
 エルサレムに向かうはずが、砂漠に放り出された事から始まった物語。
 今回からダ・ヴィンチちゃんと私は正式に契約を交わし、彼女は私のサーヴァントとして同行した。


 私がここにいるのだから聖杯を手にし帰還している。
 歴史を正しい形にもどす、それも問題無く完了した。
 けれども最初から最後まで、私の心をエグり続ける様な場所だった。


 そして英霊ってなんなんだろうって改めて考えさせられたかな。
 今回の旅を通じて、色々な事を知った。
 懸命に生きている人が無残に殺されるところを山ほどみた。


 英霊、或いはそれに属する人ならざる存在。
 私に力を貸してくれる皆。
 でも、そもそもそんな存在がいなければ、人は勝手に産まれて勝手に死んでいくだけじゃないのかな。
 英霊は過去に偉業をなしたらしい英雄だ。
 でもそれは死んだからこそ伝説になっている。
 ならそのまま死んでいればいいのに。
 私はそう思わざるを得ない。


 時代を狂わせている私たちの敵は、まるで人が憎いとばかりにこんな事をしている。
 私はバカみたいだと思う。
 そんなに嫌なら一人で死ねばいいのに。


 ロマンがある時言っていた。
 人類の崩壊の兆しが現れると、抑止力と言う見えない何かそれを止めようと現れるらしい。
 それを聞いて私が思ったのは、悪徳カルト宗教の戯言みたいだって事だ。
 貴方が苦しんでいるなら祈りなさい。さすれば神は手を差し伸べるってね。


 ならその芽を好きにさせている時点で無能じゃないか。
 6つの特異点を過ぎ、私の胸に去来するのはその無責任さへの怒りだった。
 何が抑止力だ。状況はもう末期なんだ。
 末期に出てきて抑止も何もないだろうに。


 そんな超自然的な概念ならば、地球単位でそれを判断しているのかもしれない。
 でもさ、その間に散々死んでいる人間の数を考えれば、人類の崩壊を防ぐって理念に矛盾している。
 そんなもの狂信者が囀る自分たち視点の一方的な福音でしょうに。


 ならば私はそんな物に頼りはしない。
 ソロモンもお前らも一緒だよ。
 表か裏か、白か黒か。光りか影か。
 どれもこれもどっちかがあるからその反対側が産まれてるじゃない。
 だったら私はどっちも信用しないし組しない。
 自分の意思だけで全部壊してやる。


 そんな風に破滅的な思考に傾くほど、第六の旅は過酷だったんだ。
 スカサハさんに訓練を頼んだのは、自分の不甲斐なさに情けなくなったからだ。
 戻ってきて、先輩お疲れ様でしたと微笑むマシュの目と鼻から血が流れ、ゆっくりと傾いてリノリウムの床に前のめりに倒れた。
 私が受け止めてやる間もなく、彼女は白い床に後頭部を見せ、それを縁取るように赤い花が咲いたのだ。


 取り乱すロマン。
 医療担当でもある彼はそれでも冷静さを取り戻し、マシュをストレッチャーに載せて運んでいった。
 ダ・ヴィンチちゃんからも旅の途中で詳しい話を聞いたからね。
 マシュはあと1年持たずに死ぬんだってさ。


 それでも彼女は私と同じ景色を見たいと子犬の様に寄り添う。
 私はどんな言葉を彼女にかければ良かったのだろう?
 その真実を知っても尚、何を言うのが正解なんだろう?
 何かの選択肢を与えるにも短すぎるよ。残り時間が。


 ねえ神様。貴方が神様と呼ばれる程の力があるなら、今すぐマシュを救いなよ。
 この無垢で、いや無垢だからこそこの大いなる茶番に翻弄されている。
 誰よりも純粋で、誰よりも無知なこの娘をさ。


 女神ロンゴミニアドの嘆き。
 彼女もきっと正義なんだろう。
 ファラオ、オジマンディアスの心も。


 でもさ、円卓の騎士は本の中から出てくるなよ。
 何が聖槍だ。
 何が聖剣だ。
 お前らみんなその謎の武器に翻弄されているのに気付かず、自分が大層な存在だって勘ちがいしてるだけだろう?


 あの狂った旅の中で、輝きながら儚く命を燃やし尽くした人をたくさん見た。
 砂漠の民。アーラシュ。ベディヴィエール。
 彼らは物凄く人間だった。
 アーラシュは英霊だけど、本当に偉大で最後まで人だった。
 ベディヴィエールは人間らしく迷い、落とし前をつけた。


 でもどれもこれも聖剣だのなんだのに狂わされてるじゃん。
 そのしりぬぐいを私たちが身を削ってしている様な物だ。
 円卓だって何ら特別じゃなかった。
 ギフトに狂わされ非道を働いていたけれど、彼が生きていた時代に、もし宝具めいた存在が無くても、やはり同じように血は流され、エゴはぶつかって争っていたでしょうに。
 アーサー王が女であろうがなかろうが、あの島はいつだって戦乱が続いたんだし。
 結局は全て、そんな訳の分からない力に溺れ狂っただけじゃん。


 人間は生にしがみ付いて、無かったら無いなりに生きるんだよ。
 生き汚いから人間なんだよ。
 私がカルデアに来てからの旅、そこで出会った様々なドラマ。
 それをどうにか血を吐きながら乗り越え、その度に人ならざる者への疑念と嫌悪が増すばかりだ。


 だからこそ終わらせなくちゃいけない。
 人間の手で、きっちりと。
 そうじゃなければあまりに人間は救われない。
 ただ普通に生きる、たったそれだけの事が許されないとかあり得ない。


「ねえスカサハさん」
「なんだ?」
「私を……戦えるようにしてよ」


 彼女の真っ赤な瞳と私の震える視線が混じりあう。
 でも私は絶対に逸らしはしなかった。
 やがて彼女は深いため息をついて私を無言で抱きしめたのだ。
 サーヴァントにもこうして体温がある。
 なんだかとても不思議だなって思ったんだ。
 でもとても悲しかった。 




 ★



「せんぱい……申し訳ありません……もうすぐ、動けますから……」


 無菌室めいた医療ルーム。
 入る前に防護服を着て全ての爪の間も綺麗にして漸く入室が許される場所。
 マシュはそこで何本もの管を繋がれ横たわっていた。
 胸や陰部が辛うじて隠れている程度のほぼ裸体。
 ふとベッド脇にあるバイタルを管理する計器には、この部屋が23度ほどだと表示が見える。
 そうだとしても何かしら着てなきゃ肌寒いって思うんだ。
 私は椅子を手繰り寄せ座り、努めて穏やかな顔を作ってマシュの頭を撫でる。


「大丈夫だよマシュ。無理はしないで。マシュがどれだけ私を慕おうが、同じくらいマシュが大事なんだ私。だから下手な気休めは言わないよ。使命の重大さも、マシュの責任感も理解している。でもマシュが私のサーヴァントだって思うなら、今は回復に専念して」
「せんぱい……わたしは……」


 マシュは瞳のふちに涙をため、もぞりと身じろぎした。
 内罰的なきらいのあるマシュ。無理にでも起きようとしている。
 私はふうと溜息を一つ。ちらりと視線をずらせば、気を効かせてガラスの向こうにいるロマンと目が合う。
 彼もまた肩をすくめ同じように溜息を吐いた。ここの会話をモニターしてるのだろう。
 私はマシュの肩を優しくベッドに押し付け、相変わらず新陳代謝の少ない彼女のさらりとした頭をまた撫でた。
 まるで甘える猫の様に私の手に身体ごと押し付ける様な感じがある。


「とにかく焦らないでね。次の特異点まで少し時間があるから。私も私でスカサハさんと訓練してるんだよ?」
「せんぱいが、ですか……?」
「うん。こんなにおっぱい大きいマシュがあんなに動けるんだからね。私も後輩には負けたくないからさ」
「せんぱいもおっきいです」
「うん、まあ、そうね。持てる者の余裕の発言よね。マシュ、言う相手はちゃんと確認するんだよ? 間違ってもあの引きこもってるポンコツ所長の前では言わない事」
「ふふっ……はい、りょうかいです……わたしは、せんぱいのサーヴァントですから……」
「うん、そうだよ。マシュは私の物。だから焦らなくていいから今は寝なさい」
「はい……おやすみなさい……」


 私はそう言うと、マシュを撫でていた手で彼女の瞼を閉じた。
 落ち着いたのか素直に眠るマシュ。
 私はしばらく彼女の頬を撫でていたが、数分もしないでマシュは静かな寝息をたてている。
 彼女がここに運び込まれて2日。
 まだ何をするにも体力が足りないんだろう。


 私はマシュが眠ったのを確認し、医療ルームを出た。
 プシュリとエアが抜ける音。
 中と外の気圧に高低差をつけ、ほこりなどが外から入らない様になっているんだろう。
 そうして暗がりの前室にいたロマンと目があい、暫く無言で見つめあった。
 何も表情の無いロマンは、普段とはイメージが真逆だ。
 優男の真顔ってけっこう不気味よね。


「ロマン、少し話がある。ちょっと顔貸して」


 そうして私は返事を聞かずに廊下に出た。
 向かったのは食堂を含んだ居住区画。
 ここは食堂の他にもシアタールームみたいな場所もある。
 とは言え外部からのネットが無いから映画の一つも見れないけれど。


 その代わりに大型ディスプレイにはカルデアの外の景色を環境映像の様に映し出す事が出来る。
 とは言えそれは現在のではなく、まだ人理が焼却される前のだが。
 そのスイッチを押すと、ディスプレイには輝く様な雪山の映像が静かに流れた。
 これでクラシックやポップスが流れていたら深夜のNHKの様だ。
 このカルデアがあるのはアルプス山脈のどこかだと聞いた。
 薄暗いこの部屋に映像の明るさだけが間接照明の様に照らす。


「…………立夏ちゃん、どうしたの?」


 きちんとついて来ていたロマンの声が私の背中に届く。
 その声は酷く平坦で、意図的に感情を出さない様に気を使っているのが分かる。
 ねえロマン、そう言うのはすぐに伝わるんだよ。


 私のサーヴァントに呪腕のハサンと言う名前のアサシンがいる。
 彼は私に忠誠を誓うかのように従ってくれるけれど、どこか父親の様に私を心配してもくれる。
 彼らは暗殺者であり、気配を消して敵に忍び寄るのが得意なサーヴァントだ。
 戦闘能力自体は非力な部類だろう。
 でも近寄って急所を突くならば、その非力さなど些細な話だ。
 生きているなら必ずどこかしら急所がある。彼らはそこを最短距離で突けばいいのだから。
 つまり彼らはとても優秀なのだ。


 そんなハサンが前に教えてくれたことがある。
 それは私が戯れに、どうしてそんな見た目なのに誰にも気配がばれないのと聞いたからだ。
 彼は気配遮断というスキルがあると言う前提はあるにせよ、気配を消す事自体にはコツがあると言う。
 実際彼らの生前にはスキルなんて概念は無い。
 スキルとはそもそも英霊としてかつての行動や偉業が概念として具現化した恩恵なのだから。


 つまり彼らは気配遮断スキルと同等の事を生前にも出来ていたのだ。
 そんなハサンが言うには、気配を極限まで消すのは愚行だと言う事。
 相手が素人ならそれでもいいけれど、少しでも武の嗜みがあるなら別だと言う。
 私は軽く驚いた。気配を完全に消した方が気付かれないだろうと普通なら思うでしょ?


 でも実際は、完全に気配を消してしまうと逆にばれるという。
 というのも一見何も無い空間にも何かしらの動きがある。
 それは例えば風の揺らぎとかそう言うのだ。埃が宙を漂い、かならず何かしらの動きがある。
 だからこそ極限まで気配を消し、その場所に完全に近い無を作ると不自然なのだ。
 なので彼らはその場にある状態を出来るだけ利用して、最低限の気配消失で潜伏するという。
 消すでは無く、溶け込む、それが本質なんだと。


 なるほどなーと思わず私は唸った物だ。
 とは言えマネできるレベルの話じゃないけれど。
 彼らが出来るなら、私のやる事は必要な場所に必要な人を送る事だしね。


 今のロマンの表情にはそんな不自然さがある。
 それじゃ何か疚しい事があるって宣伝しているみたいだよ、ロマン。
 私は彼を軽く睨み、溜息を一つ。そして言った。


「ねえロマン。マシュの事はもういいんだ。どういう理由があっても、現実にマシュは存在しているからね。それにロマンだって好き好んでやった訳でもないんでしょ? 前所長とかの柵もあったんだろうし。だからそれはいい。でもね、キャメロットの時から、いや思い返せばもっと前、それこそロンドンや北米の時からずっと私は気になっていたんだよね。だから敢えて聞くけれど、ロマン、何か私に言う事は無いのかな?」
「それは…………どういう意味だい?」
「これまでの一年近くの時間の中で、色々な事があったよね。正直最初の方はレイシフトをするのが辛くてさ、ロマンを恨んだりもしたけれど、今は大切な仲間とか抱えているからね。なら自分の真意がどうであれ、まずはこの状況を終わらせるために手は抜かない、そう言う気持ちだよ? だからロマン、貴方の事は信じているし、信頼もしている。だからその上で言うんだよ。何か私にまだ、言ってない事は無いのかなって」
「…………………………」


 沈黙。ロマンは俯き、そして唇をかみしめた。
 実際私は別に彼を一ミリたりとも疑ってなどいない。
 例のシャーロックホームズ、彼が言った事とか意味深ではあったけれど。
 でもね、私はむしろ彼こそ信用していないよ。


 きっと彼は全てを見通す様な何かを持っているんでしょう。
 それは分かる。彼が聡明で優秀である事も。
 彼がきっかけでマシュに力を託した英霊が、円卓に名を連ねる一人の騎士だと判明したし。
 でもそれに感謝する気も起きない。
 きっとあの時それを知らなくとも、マシュは成長したのだから。
 あまりマシュを舐められても困る。


 彼女は私の盾として常に前に立つ。
 でも知っているかい? ホームズ。
 マシュが盾を握る手がいつも震えている事を。
 落ちついてと常に自分に言い聞かせている事を。
 私を護るのだと言う想い以外は今も恐怖に苛まれている事を。


 余談だが、自分のマイルームに引きこもるあのポンコツ。
 あれはマシュに殺されるとビビっていた。
 まあマシュの出自の件を知った今は何となくその気持ちは理解できるにしても。
 自分の父親の仕事の一環だが、外道がデフォルトと言われる魔術師の家の生まれの癖に、罪悪感を持つあのポンコツはまだ正常なんだと微笑ましくも思う所はある。
 だからと言ってこんな健気なマシュに向き合いもせず、一方的に恐怖するとか許されない。
 なので折を見て私はきっちりと教育したから今は問題無いのだ。


 閑話休題。


 まあつまり、ホームズがいかに優れた思考を持っていようが、カルデアに信用ならない人物がいるから手を貸せないだって? なら初めからしゃしゃり出てくるなって話なのだ。
 別にお前の情報があろうとなかろうと、カルデアはどうにかするのだ。
 しなきゃ世界は燃え尽きるだけ。シンプルな話だ。
 今の私には世界をどうにかするという決意がある。
 だからこそ、中途半端にかかわってくる奴が迷惑なのだ。
 多分そんな甘い話じゃないんだよ現在の状況って。


 私は推理小説は好きだけど、人類の危機がかかっている今はトリックなんかいらない。
 せめて倒叙の手法なら許せるが。


 そもそもお前が御大層な用心を重ねた所で、私はどうだという話。
 私なんかこのカルデア全体を最初は一切信用してなかったわ。
 当たり前だよね。信頼を構築する時間など私には無かったのだから。
 なら逃げ出したかと言えばそうじゃない。
 状況に流されたのは多大にあるにせよ、自分で自分に折り合いを付けたんだ。


 だいたい何故私が彼を信用しないか。
 それの一番の理由は彼の動機だ。
 人理焼却を殺人事件ととらえて犯人捜しをしているという理由そのものだ。
 悪いが私には彼が凄いとは思えない。
 凄いのは彼を産みだしたサー・アーサー・コナンドイルであって、逸話を神格化したのは全世界のシャーロキアンだ。
 その偶像が何を偉そうに言うのだ。
 思いっきり物語の名探偵としてのルーチンで動いているだけじゃない。
 それってそこに正義感があってとか、人類を滅ぼしたくないからって言う強い気持ちを感じられない。


 ハサンの気配遮断の様に、自分の逸話の概念が彼の行動理念なだけにしか見えない。
 ならば、人間以下の存在が人間を分かった風に言うんじゃないよ。
 その在り方に物凄く嫌悪感が沸くのだ。
 故に私はホームズが危ぶむロマンの方を信じている。
 これだけ付き合えば分かる。
 手を出したりこそしないが、口汚く罵る様なぶつかり合いもかつてやってんだ。
 なら極論、裏切られたとしても私はロマンを信じるよ。
 ただそれだけだ。


 でもね、そのホームズが囀った言葉も私は別の意味で重くとらえている。
 ロマンが隠している物は、誰かを陥れる類いの物じゃない。
 むしろマシュの事に近い動機で隠していると私は思う。
 ねえロマン、私が気が付かないとでも思っていたの?
 貴方が無意識に私に視線を飛ばしている時があるんだよ。
 そしてその時の瞳に浮かんでいるのはオソレなんだよ。


 言いたい、或いは言わなきゃいけない。
 もしかすると自分一人でどうにかしなきゃ、そう言う類いかもしれない。
 そう言うのがぐしゃぐしゃに混じった様な目で私を見ているんだよ。
 罪悪感があるんでしょう?


 きっとロマンは疚しい訳ではない。
 でも何かしら決定的になる確信を持っている。
 だからさ、知り合いんだよ私は。
 こんな小さなトゲみたいな物でも、いずれ来るだろう決定的な瞬間に心に刺さりでもしたら、それが取り返しのつかない事になるかもしれない。
 嫌なんだよ私は。そう言うのが。


「立夏ちゃん、君に言ってない事は……ある。でも今はそれを言えない。でも信じて欲しいのは、ボクは君を裏切ったりはしない」


 しばらくの逡巡の後、ロマンは憑き物が落ちた様な表情できっぱりとそう言った。
 線の細い普段のロマンの印象。
 でも今は、思わず後ずさってしまう様な覚悟を感じる。
 きっとモニターしているだろうダ・ヴィンチちゃんも来ない。
 それほどに2人の間には絆がある。
 時折彼らがマシュの両親の様で、その間で笑っているマシュを見て嫉妬した事もあるし。
 いま彼女がここに来ないのは、ロマンを信じているんだろう。


「……そもそも私はロマンを信じないなんて事は無いよ。言えないじゃ無くて言わないなんだろうってのも察する事も出来る」
「立夏ちゃん……」
「でもねロマン、それでも敢えて言うよ。それが優しさだと勘違いして自己完結した結果、私が泣く様な事があったら、その時は助走をつけてグーで殴るからね。今やガンドだけは所長も認める腕前だし、スカサハさんにも手ほどきされている槍だってあるからね?」


 どうせ何も言わないんだろう。言えないんだろう。
 でも言いたいことは言っておく。
 ロマンは声を出して笑い、それは勘弁して欲しいなぁ……と頭を掻いた。
 あの顔をくしゃくしゃにするいつもの表情で。
 そして背を向けると私に手を振り出ていった。


 去り際に彼は呟く様に言った。
 ボクは立夏ちゃんもマシュも護りたいんだって。
 残念ながらその独り言は聞こえていたよロマン。


 なら私は今の時間に出来る事をしよう。
 私にやれる事なんてそれしかないのだから。
 あ、あのポンコツを弄るって言う日課もあるけれど。
 そして私はトレーニングルームへ向かったのだ。


「…………今なら豹でも倒せるわ」


 何となくそう思う。
 きっと物語の結末は近い。
 その時、カーテンコールで私とマシュは笑えているだろうか?

雑記:小説を書くと言う面倒臭い趣味のこと

 私の趣味はいくつかある。
 それはバイクに乗って江の島に行くとか、江の島にいる猫を構って一日が過ぎるとか。
 最早バイクがメインなのか江の島がメインなのか謎ですが、アウトドア・インドアに限らずいくつかあります。


 その中でインドアに属する趣味の中に小説を書くと言う行為があります。
 初めて書いたのは小説家になろうと言うサイトの姉妹サイトで「にじファン」という二次創作をメインとした場所でですね。


 その頃はエヴァの2次創作の熱が収まり、ゼロ魔とかラノベ系の原作が増えて来た頃でした。
 私は所謂読み専というヤツで、書く事はしなかったです。
 ただ面白い作品をブックマークし、更新を愉しみに待つと言うスタイル。


 その頃……というか今もですが、私の仕事はかなり忙しく、決まった休みが取り辛いと言う物です。
 なのでストレスが溜まります。妻も専業では無く自分の仕事を持っていますので、互いに愚痴を言い合う事は出来ても、それ以上踏み込んで話す事は守秘義務的に難しい。


 そんな時に私のストレスをスカっと晴らしてくれるのが二次小説だったと言う事です。
 二次とかなろうに溢れている小説にほぼ共通するのは、過剰なほどのご都合主義があると言う事。
 それは一般的な小説的に考えるとアウトなんだけれど、刹那の気持ちよさが丁度私のニーズに刺さったのです。


 それでハマった。
 けれども逆のストレスも多くなった。
 そのご都合主義ってのも塩梅で、流石に見るに堪えない作品が多かったのです。
 例えばニコポ、ナデポと言われる理由なく原作ヒロインがオリ主に惚れていくパターンとか、どう原作を読み込んでもそりゃねーわって程に改悪した挙句アンチ・ヘイトをするようなパターンですね。


 そもそも二次創作ってのは原作があるから存在するわけです。
 つまり原作を楽しんでいた読者が、読了後にもっとその世界観を味わいたいと思うから書いたりしたくなるわけで。


 けれども当時のにじファンに溢れていた作品には、どうみてもこいつ原作知らないよねって作者が多かった。
 つまり二次小説を読んで、二次設定マシマシの原作キャラを見て、じゃあ自分も書こう、己の思うままにって流れが結構あった。


 原作キャラの名前を間違う。
 原作キャラの話し方、雰囲気が明らかに別人レベル。


 私はその頃、ゼロの使い魔を読んでいまして。
 あれって一見ハーレムっぽい異世界迷い込み系ファンタジーなんだよね。
 世界観設定はツッコミどころ多いし。


 でも一番の主軸は主人公であるヒラガサイトとルイズ・ラ・ヴァリエールの成長物語な訳だ。
 貴族の設定とかはむしろ添え物で、そこは重要じゃない。
 作者のヤマグチ氏は志半ばで他界されたが、残されたプロットで一応は完結を見た。
 ネタバレはさけるが、6000年からの歴史があって、なんで文化がまともに成長してないんや的な部分も納得できましたね一応。
 まあ興味ある人は購入して読んで、どうぞ。


 話が逸れたけれど、そう言う風に原作のアニメやゲーム、小説を読んでいればそうはならない勘ちがいが往々にあった。


 それにイラっとした訳です。
 ふざけんな、こんなん違うわ! みたいに(笑)


 で、私が始めたのはそう言う地雷小説のこれ無いわーって部分の逆を書くと言う性格の悪い方法に出た。
 んで20万字ほど勢いで書き、推敲を一切せずにガンガン投稿しました。


 誤字脱字、誤用だらけ。
 ただそこそこ評価が貰えたんです。
 多分私の作品のクオリティはゴミでした。
 ただ同じように原作レ〇プに嫌気がさしてた人が集まった。
 逆に、安易なハーレムとかが欲しいにじファン族には酷い感想を貰いました。


 ここで「ああなるほど、方向性はあってたようだ」という確信がとれたのですね。
 で、自分の書く作品のおおまかな方向性が見えた。
 これ以降、ちょくちょく書く様になりました。


 一応自分が書く場合のルールというか制約があり、それは出来るだけきちんとした物書きのルールに従おうと言う事。


 それは当時横行していた、謎の演出なんだろうけれど、改行を50回くらいした様な謎の空白。
 段落が設けられず、文字がつまりにつまった作品。
 感情描写に「やだかっこいい・・・・////」みたいな絵文字を使う。
 名前の前に名前が入る所謂台本形式。
 頻繁な場面転換でSIDE~~みたいなアレ。


 これらは自分が読んでてひじょ~~~~~に辛かった。
 単純に読みづらいってのはあるし、///とかも「彼女は無言のまま俯いたが、よく見ると耳が真っ赤になっていた」とかやれば照れてるって分かるでしょ? その一手間を面倒くさがる所が腹が立つ。


 その手の作者を否定はしないが、一読者としてはストレスが凄かったので、なら自分が書くときは内容がクソでもここは守ろうと決めた訳です。


 後はプロットを簡素でも組み立てる。
 プロットはまあ予定表って言えばいいんですかね?
 例を挙げれば、例えば東方プロジェクトでやってみると


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・地方の大学の運動部に所属するモテはしないがブサイクでも無い男、休日に友人と長野に観光に行く。諏訪大社は4つの神社まとめて諏訪大社としり軽く驚く。
 友人達とガイドマップに従い山道を散策していると、男は友人とはぐれてしまう。
 携帯も通じない事に焦りを感じた男はやみくもに走り回ると、そこには綺麗に手入れがされているが、人けのない神社があった。名は博麗神社とあるが、男は観たことも聞いた事も無い。ガイドマップにも乗っていない。
 ※博麗霊夢は紅魔館に外出中。境内にいたのは霧になっていた伊吹萃香。
 ※慌てる外来人の様子を眺めていた萃香は、気が付くとこの人間が気に入っていた。
 ※鬼だしさらっちゃおう
 ※攫う際に男が暴れ、勢い余って右手をもいでしまう
 ※死んだらまずい→永遠亭へ
 ※一命をとりとめ、男は妖怪と言う物を知る
 ※いくつかの関わりから男は萃香に奇妙な友情を覚える。


・外来人は外に返す。それが博麗霊夢の決めた事。
 彼女の勘と境内に残っていた血痕から、霊夢はここに外来人がいたと考える
 ※八雲紫による耳打ち、ミスリードをいれる
 ※霊夢はこれを異変と認識
 ※下手人であろう萃香を追う
 ※霊夢は動くとなれば非情になる
 ※何となくついてくる霧雨魔理沙


・幻想郷を旅する
 空を飛ぶ、それがとても新鮮で、萃香に抱えられ、手つかずの大自然を目いっぱい楽しむ男。
 この時点で二人は仲の良い友人のようになる。
 萃香は鬼としっても懐いてくるこの無知な男をさらに気に入る。
 萃香は知り合いの天人に男を合わせた。それはある種の自慢で、ただそれは友人を紹介すると言うよりは、コレクションした宝物を自慢するのに似ていた。
 歪な感情に天子は内心眉を顰めるが、この鬼に正論は通じないのを知っているので、適当に合わせ、萃香が返った後、永江衣久に監視を命じる


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 とまあこんな感じで大まかな流れを作るのがプロット。
 これはエンディングまで決めておく。
 ちなみにこれはこのブログを今書きながら適当に作ったモノ。
 最終的にはバッドエンドで男は死ぬ。


 何を言いたいかと言えば、エンディングまでの流れを決めておくと、途中でブレてもどうにかなるって事。
 これがあるか無いかで全然違う。
 
 話しを何となく書いているとあまり気が付かないのだけど、後から読んでみると話が支離滅裂になっている事がよくある。
 これを防ぐためにもプロットはいいですな。


 まあ書き方はそれぞれだから好きにやればいいのだが、まあこんな感じで小説を書く様になりましたって話。
 
 でも最近は全然書けなくなってしまった。
 ハーメルンで連載しているのはいくつかあるけれど、東方二次の朝陽の幻想郷【旧題:霧雨魔理沙をぶっとばせ】しか完結しとらんもんね。


 割ときちんと書こうと思っていた艦これ二次に関しては、何というか艦これが面白いと思えなくなったせいで一気にモチベが低下したもので、もうダメかもわからんね。
 
 でもね、やっぱりアイデアは浮かぶのよ。
 で、私が普段何で小説を管理しているかといえば、「小説家になろう」さんなんだよね。
 あそこのサイトとしての評価はどうであれ、書き手としては楽なのよ。
 そこで書き散らかしては保存しておく。
 容量がかなり使えるからね。


 今回このサイトに小説をアップしたが、その一番の動機は、なろうの執筆中小説ってとこを確認したら、なんと! 書きかけの作品が600を越えていたからだ!
 私って結構1話にいっぱい詰め込みたい人間なので、600本あるそれぞれが1万字前後ある訳。
 それ合計するとヒャーってなって、ならそれなりに固まっている作品を少しずつリリースして減らさなきゃ!(使命感)みたいな流れなんだよね。


 自ブログならきっついコメントきても最悪見なきゃいいし、評価ポイントが上がり下がりしないから精神的に楽だし。
 全然評価とか気にしてないから^^とか言ってても、やっぱ酷評されたら凹むのが人情ってやつでさ(笑)


 そんな訳で、今後もボチボチ未完成作品をここに投稿していく所存であります。
 ああ^~加筆修正が一番楽なんじゃ^~